フィックスターズ、ゲットワークス、NTTPCが共同で水冷GPUサーバの本格稼働環境を整備する取り組みを開始しました。これにより、今後のAI需要に伴うGPUサーバの性能向上を支える新たな環境を築くことを目指します。
水冷GPUサーバの必要性
近年、生成AIの需要が急増し、GPU技術の革新が進んでいます。これに伴い、GPUの性能が向上し、その結果、消費電力や発熱量も急増しています。従来の空冷方式では冷却が難しくなっているため、新たに水冷方式が必須となりつつあります。しかし、日本国内では水冷GPUサーバの導入が進んでおらず。その理由はいくつかあります。各サーバーベンダーによって冷却仕様が異なり、同一ベンダー内でもGPUごとに異なるCDU機器を用意しなければならない状況です。
また、水冷環境を構築するためのノウハウが不足していることや、既存の設備改修に伴うコスト増加、さらにはデータセンターへ水を引き込むことへの躊躇いなどが挙げられます。こうした課題に取り組むため、各社が連携し、今夏までに水冷GPUサーバの本稼働環境の構築を目指しています。
各社の役割と取り組み
フィックスターズの貢献
フィックスターズは、自社保有の水冷GPUサーバを実証実験に提供し、GPUを活用したソフトウェアの高速化やパフォーマンスチューニングにおいて豊富な経験を持っています。これにより、システム全体の性能評価や信頼性検証を行い、高負荷なAI処理を安定的に実施できるインフラの整備を支援します。
ゲットワークスの先進性
ゲットワークスは2014年から再生可能エネルギーを活用したコンテナ型データセンターの展開に取り組んでおり、スーパーマイクロ製の冷却装置を国内で初めて導入しました。自身の構築した水冷環境において、さまざまな最新技術の課題に対応し、新たな検証コンテナも設けて、運用管理技術を確立しています。
NTTPCの専門性
NTTPCは、大規模なGPUクラスタの提供実績を有し、ハードウェアエンジニアリングの視点から今回の検証に参加。CDUの初期構築から、実際の負荷テスト、冷却効率に関するデータ収集を行い、水冷サーバに関する専門知識を積み上げていくことを予定しています。
湯沢GXデータセンターでの実施
この取り組みは、ゲットワークスと新潟県湯沢町のGXテクノロジーが共同運営する湯沢GXデータセンターで実施されます。この施設は豊富な水源があり、電気や冷却関連の技術者が常駐しているため、迅速な問題解決が可能です。得られたデータや知見は、今後設立を予定しているコンソーシアムへの共有をフィックスターズが支援します。また、最新の水冷GPUサーバ「Blackwell Ultra B300」の国内展開にも寄与していく予定です。
フィックスターズの概要
フィックスターズは「Speed up your AI」をモットーに、AI技術の進化を推進するテクノロジーカンパニーです。ソフトウェア最適化により、AIモデルの性能を飛躍的に向上させており、医療や製造業、金融業界など多岐にわたる分野での活用が進んでいます。
ゲットワークスの取り組み
ゲットワークスは、再生可能エネルギー利用を重視したコンテナ型データセンター事業を展開しています。多様な顧客ニーズに応じた柔軟な提供を行い続け、全国各地での設置実績を積み上げています。
NTTPCのサービス
NTTPCは、全国中堅・中小企業向けにICTサービスを提供するエキスパートであり、特にAI関連のサービス展開に積極的です。今後この連携がもたらす成果に、業界の注目が集まっています。