新たな地方創生の取り組み:南魚沼ブルワリー・ジビエ
新潟県南魚沼市で、地域の課題解決に向けた新しい試みが始まります。どろんこ会グループは、2026年9月にジビエの解体加工とクラフトビール醸造を行う複合施設「南魚沼ブルワリー・ジビエ(MUBG)×焚火の台所」をオープンする予定です。この施設は、深刻な獣害と人口減少、そして「命のフードロス」といった様々な地域課題に対する、循環型ビジネスモデルの一環として位置付けられています。
獣害とフードロスの現状
南魚沼市における獣害は年々深刻化しており、2021年度には影響額が155億円に達し、2024年度には188億円に増えると予測されています。狩猟に従事する人々は高齢化が進み、狩猟免許を持つ人のうち活動しているのは約6割に留まっています。また、捕獲された野生鳥獣の約90%が廃棄される一方で、ジビエとして利用されるのはわずか約7%、この状況をどろんこ会グループは大きな課題と捉え、解決への取り組みを行っています。
命の循環をつなぐジビエ給食
今回の南魚沼ブルワリー・ジビエでは、地元猟師が捕獲した野生鳥獣を利用し、廃棄される命を安全なジビエ肉として再生します。このジビエは、食育の観点から子どもたちが「命をいただく」過程を学ぶための貴重な教材となります。将来的には、地元の学校や保育施設など全国の給食として提供される予定です。
持続可能なビジネスモデルの確立
この施設では、ジビエ肉と共に、地元で育てられたホップを使ったクラフトビールも醸造します。これを併設されるビアレストランや市内外のレストランに流通させることで、地域経済にも寄与することを目指します。命・狩猟・農業・食育・観光が広く連携し、持続可能な地域振興を実現するための新たな拠点となるのです。
23年の絆が形になる
このプロジェクトは、23年前の田植え体験をきっかけに始まりました。地域の人々との交流を深める中で、子どもたちに食について学んでもらうため、地元に保育園を開設。以来、農業支援や給食米の生産に取り組み、ついには地元の獣害対策にも携わるようになったのです。高堀代表の個人的な狩猟免許取得や地域の猟師たちとの連携もこの活動の中で生まれています。
食育を通じた命の大切さの理解
南魚沼ブルワリー・ジビエでは、ジビエ解体の過程をガラス越しに見ることができ、子どもたちに命の大切さと、それを支える人々の努力を理解させる場を提供します。施設には、解体・加工の専門室が設けられ、各工程を見学できる環境が整います。このようにして、地域の命と食がつながる仕組みを、子どもたちに直接体験してもらうのです。
南魚沼市の未来を見据えて
南魚沼市の林市長は、今回のプロジェクトが地域の未来を創造し、獣害対策を含む様々な課題解決に寄与することを期待するとしています。また、どろんこ会グループの高堀代表も、「人と自然に恩返しがしたい」との意志を持ってこのプロジェクトを実現しました。
地域に根ざした食文化の再生、持続可能な農業への貢献、そして命の教育が、南魚沼市に新たな希望の光をもたらすことを期待します。