地域の人事部を再定義するInquiry合同会社の挑戦
新潟市に拠点を置くInquiry合同会社は、地方都市における企業や自治体、教育機関との連携を通じて、人事に関する根深い問題への改善を目指しています。2026年3月の創業10周年を節目に行われるリブランディングでは、過去10年の活動実績を元に、業務体制を刷新しました。この取り組みの背景には、地方における人事部不在という深刻な問題が存在しています。
人事部不在がもたらす課題
地方中小企業の多くは専任の人事担当者を抱えておらず、採用から育成、評価まで経営者や管理職が兼任している状況が続いています。その結果、人が採れず、定着もしないという負のスパイラルが生まれ、若者の地域離れが加速しています。2024年度には人手不足による倒産が過去最高を記録するなど、問題は年々深刻さを増しています。Inquiryは、この課題を地域全体で解決するための「地域の人事部」という新しい概念を提唱し、実践してきました。
開かれた地域の人事部
Inquiryは、これまでに89の企業や自治体、学校と連携し、「地域の人事部」を推進してきました。特に、若手人材育成プログラム「ルーキーズカレッジ®」は6県8地域に展開し、山形県最上地域では新卒者の県内就職率を60%台後半から70%台にまで向上させる成果を上げています。このプログラムは地域の特性を活かした学びを提供し、若い人材のキャリア形成に寄与しています。
強化された事業体制
新たに整えられた事業体制は、主に「HRパートナー」「ラーニングデザイン」「インパクトデザイン」という3つの領域に分かれています。これらは互いに補完し合いながら持続的な変革をもたらしていく計画です。
- - HRパートナー領域では、企業の人材戦略の策定から制度設計、人材育成までを包括的に支援します。人的資本を「コスト」ではなく「価値創出の源泉」と捉えた支援を行うことが特徴です。
- - ラーニングデザイン領域では、学びを「教えること」とは別に、変化を生むためのプロセスとして位置づけます。地域企業における実践型のインターンプログラムや探究学習を提供し、柔軟かつ効果的な学びの場を作ります。
- - インパクトデザイン領域では、企業や団体など多様な主体をつなぎながら、社会に持続的な変化をもたらすプロジェクトを設計します。具体的には、地域の人事部設立に向けた支援や、各地のネットワークをつなぐことで、地域全体の人事機能を強化していきます。
情報発信の拡充
さらに、リブランディングに伴いホームページの全面リニューアルとYouTubeチャンネルの開設も行いました。新しいホームページでは、各事業領域の詳細や成功事例を発信し、同じ悩みを持つ経営者や人事担当者へのヒントとなる情報を提供しています。また、YouTubeチャンネルでは、実際のチャレンジや成果を振り返ることで、視覚的に変化のプロセスを伝えることを目指しています。
地域への感謝と展望
Inquiryの代表である山本一輝氏は、地域での人事機能の必要性を強く訴えています。「人を育てなくていい企業」は存在しないと語り、今後も地域ごとに学びを展開し、より深い変化を生み出すための活動を続ける意向を示しています。10年間の活動を経て、次の10年に向けた新たな挑戦を誓う四方です。
このように、Inquiry合同会社は地域に根ざした人事支援の新たな形を模索し続けています。彼らの取り組みが、新潟や全国の地域に良い影響をもたらすことを期待したいと思います。