津南町の酒蔵が細胞培養技術で持続可能な未来を築く

新潟県津南町に本社を構える津南醸造株式会社が、東京都文京区に拠点を置くインテグリカルチャー株式会社との共同開発契約を結びました。この提携の核心は、津南町の自然資源である「天然水」と、インテグリカルチャーの尖った細胞農業技術を組み合わせ、細胞培養による食品や化粧品原料の創造を目指すことです。

提携の背景

ここ数年、世界全体での人口増加と環境問題の悪化が大きな課題となっています。このため、持続可能なタンパク源の選択肢としての「細胞培養食品」の重要性がますます高まっています。インテグリカルチャーは、コストを削減しながら大規模な細胞培養を実現する技術の開発に注力しています。

津南醸造もまた、天然水と酒米を基にした伝統的な酒造りを続けながら、持続可能な地方創生に向けた新たな価値の創出に力を入れています。AIやIoTを活用した「スマート醸造」の導入や、酒粕を新しい製品にリサイクルするプロジェクトを展開しています。

このたび、両社の目指す方向性が一致し、細胞農業技術と地域に根付いた自然資源を融合させる共同開発が始まりました。これは、インテグリカルチャーの全国的な地域展開にとって、重要な第一歩です。

今後の展望

両社の取り組みの最初のステップは、津南の天然水を使用した培養サンプルの品質評価です。将来的には、津南醸造にインテグリカルチャーの培養設備を設置し、「マイクロブルワリー型」の生産拠点を実現することを目指しています。

インテグリカルチャーのコメント

インテグリカルチャーの代表取締役CEOである羽生雄毅氏は、「伝統ある津南醸造と共に未来への第一歩を踏み出せることを非常に嬉しく思います。地域の水という資産と、我々の細胞農業技術が融合することによって、新たな価値が生まれる確信があります。この提携は、細胞農業の地域共生モデルの全国的な展開において、重要な第一号のパートナーシップとなるでしょう。」とおっしゃっています。

津南醸造のコメント

津南醸造の代表取締役鈴木健吾氏は、「私たちの未来を見据えて、ただ伝統を守るだけではいけないという危機感がありました。その中で、インテグリカルチャーの技術は地域に密着して展開できる可能性を秘めています。私たちが大切にしている地域資源を活かしながら、持続可能な食の未来を目指してこの地域共生モデルを構築していきたいと考えています」とコメントしています。