新たな建設業界の幕開け
新潟県糸魚川市に本社を置く株式会社かねこが、静岡県の木内建設株式会社とタッグを組み、建設DXを支援するための「工程表ビューア」を開発しました。このビューアは、長年にわたって蓄積された工程表データを社内で効率的に検索・分析・共有し、業務の効率化を図ります。この取り組みは、建設業界におけるデジタル化の飛躍的な進展を予感させるものです。
背景
建設業界では、情報の共有化が十分に行われていないケースが多く見受けられます。例えば、個々の担当者のPCに蓄積された工程表は、資源としての価値があるにもかかわらず、効率よく活用されないことがほとんどです。その結果、過去の物件の情報検索が難しく、修正履歴も共有されず、組織での知識と経験の蓄積が妨げられています。木内建設でも、10年以上の間に約3,500件の工程表が個々のPCに蓄えられていましたが、これを「社内の資産」として最大限活用するためには、検索性と共有性を高める必要がありました。
CDPM-X64 とJson形式の導入
2024年3月にリリースされる「CDPM-X64」では、データの構造化に欠かせないJson形式のサポートが強化されています。これにより、従来の工程表データを簡単に扱える形式に変換することができ、ビューアの技術的な基盤が整います。
工程表ビューアの特長
この新しい工程表ビューアにはいくつかの注目すべき機能があります。
1. 統一フォーマットで検索可能
約3,500件の工程表をJson形式に変換し、構造、工期、階高といった様々な属性で社内検索が可能なデータベースを構築しました。
2. 履歴情報の共有
全体工程表、サイクル工程表、およびその修正履歴が一元化され、担当者ごとの情報の偏りを解消します。
3. 自動化された統計処理
統計処理、相関分析、時系列分析を自動で行い、その結果はMarkdown形式で文書化され、分析レポートとしてビューア上で確認できます。
4. 地図による可視化
蓄積した住所情報をジオコーディング処理し、地図上にプロット。これにより、エリア別の傾向把握が容易に実現されます。
プロジェクトによる具体的な効果
このプロジェクトを通じて、全ての工程表が統一されたフォーマットで検索可能になり、改訂履歴も含む物件の履歴が共有されるようになります。地図と統計情報を活用することで、客観的なデータ分析が行えるようになり、工期見積りの精度も向上します。さらに、類似案件からの参考資料活用が促進され、工程予測やその他データ活用領域の拡大が期待されます。
今後の展望
株式会社かねこでは、工程表データの資産化をさらに推進し、より高度な分析機能の追加や外部システムとの連携を目指します。これにより、建設プロジェクトのデジタルマネジメントを支援し、業界全体の効率化に貢献していくことを誓います。新しい技術が所与の課題を解決し、より良い未来を築くことを期待します。