根羽村が新たに始めた「蒸留の村」構想
長野県下伊那郡に位置する根羽村は、森林が村の広大な面積の9割を占める自然豊かな地域です。この村が、新たに「蒸留の村」構想を始めることとなりました。日本初の精油蒸留専用の純銅製アランビックの製作を進めるとともに、地域の森林資源を用いた精油や芳香蒸留水の生産を目指しています。
森の恵みが眠る村
当村は、矢作川の源流にあたる位置にあり、約800人の村民が生活しています。古くから基幹産業として林業が営まれてきましたが、近年は木材価格の低迷や担い手の高齢化といった問題に直面しています。そんな中、村内で製造される枝葉が未利用資源として残っており、精油の原料となる芳香成分を豊富に含んでいることが注目されています。この資源を活用し、持続可能な形で新たな産業を生み出し、地域を活性化させることがこの構想の狙いです。
「蒸留の村」構想の3つの柱
1. 国産アランビックの製作
この構想の中核となるのが、新潟県燕三条の鎚起銅器職人である渡邉和也氏とのコラボレーションによる国産アランビックの製作です。従来、国内の蒸留器はほぼすべて輸入品でしたが、今回初めて純銅製アランビックが国産で作られることとなりました。200年の歴史を有する燕三条の鍛金技術が生かされるこのアランビックは、日本のものづくりの伝統と地域の森林資源を融合した象徴的な存在となります。
2. 蒸留の専門家を地域に呼ぶ
蒸留技術の指導者として、吉水純子氏を迎えることもこの構想の大きなポイントです。吉水氏は宮崎県で日本初の100%薪火アランビック精油蒸留所を立ち上げた経験を持ち、彼女の知識と技術が根羽村での精油づくりに貢献します。地域活性化起業人として、吉水氏は村民と協力しながら精油事業の核となることが期待されています。
3. 働きかけを通じた協力の輪を広げる
このプロジェクトが目指すのは、単体の蒸留所ではなく、村全体で森林資源を活用した「蒸留の村」をつくることです。約3年間の実証期間を経て、村民全員がこの事業に参加できる環境を整え、森林資源を利用し新たな収入源を確保する循環を形成します。
「蒸留」は森の回復手段
本構想では、蒸留技術を通じて単なる経済的な利益を追求するのではなく、森林の生態系を本来の姿に戻すことも最終的な目的としています。間伐材や不要となった枝葉を精油に変えることで、これまで顧みられなかった森林資源に新たな価値を与え、村の魅力を高めることを目指します。
100%薪火蒸留の実現
さらに、全ての蒸留プロセスを100%薪火で行うことを目指します。化石燃料を使用せず、森林の間伐材を熱源として利用し、持続可能な形での生産が実現されます。この取り組みは、地域の自然環境を守りつつ、地球温暖化の抑制にも寄与するものです。
地域の資源をフル活用する流域経済圏
根羽村から始まったこのプロジェクトは、地元の農産物も活用することでさらに広がりを見せます。木材だけでなく、果物の皮や花、香草など、規格外の農産物も蒸留の素材として利用し、地域全体の資源を結びつける流域経済圏が形成されるのです。これにより村の産業が発展し、外部との関係も強化されます。
関係者のコメント
吉水純子は、「このプロジェクトこそが根羽村の豊かな資源を活用した新しい挑戦であり、村民と共に歩むことで自然に直接連なる生活を育んでいく」と述べています。また、村長の大久保憲一氏は「地域の産業振興と自然保全を同時に実現することに挑戦している」と構想の意義を強調しています。
取材・お問い合わせ
この素晴らしい取り組みに関心を持った方は、ぜひ根羽村へお問い合わせください。地元の蒸留体験プログラムや国産精油を利用した商品開発への挑戦が待っています。